ラベル screening の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル screening の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年5月13日水曜日

ななめ読み:スペイン風邪ですべてが変わったアメリカ映画業界

Historian William Mann On How The 1918 Spanish Flu Changed Hollywood Forever & How COVID-19 Might Too

The year was 1918. As World War I was ending, the Spanish Flu began ravaging the world. Within a year, it killed 675,000 Americans and 50 million worldwide - 10 million more than those who perished in the war. There are several parallels between the response to the Spanish Flu and COVID-19 in the U.S.

 こちらの記事が興味深かったので簡単に紹介します。

ハリウッドの歴史小説家William J. Mannが、かつてスペイン風邪の流行った1918年~のアメリカ映画産業の変貌について語ったインタビュー記事。今あるハリウッド式の映画産業の仕組みができたのがちょうどこのパンデミック以降からだということです。スペイン風邪の流行で、映画館も休業要請に見舞われ、それまで多数を占めていた夫婦でやってるような独立系、自営業の映画館が経済的に持ちこたえることができず、閉館を余儀なくされるていきました。そこに追い打ちをかけてたたき買いしていったのが今のパラマウント映画の祖であるアドルフ・ズーカー。予てから、制作、配給、上映の映画に係るすべての側面を効率よくコントロールしたい、と考えていたズーカーは、パンデミックを商機として、つぶれそうな映画館を安く買収(このとき、この値段で応じなければどっちにしろうちが向かいにでかい映画館を作ってお宅はつぶれることになる、というような交渉にでたとしています。なんだか不動産のFlipperみたい)し、今の映画スタジオの仕組みの原点となります。

こうして配給や上映の手綱を握るようになっていくと、今度は映画産業に従事しこれまで生業として意思決定の立場にあり自己完結できていた有色人種や女性の働く場所を結果的に奪っていきます。近年のオスカー授賞式では、#OscarsSoWhiteとかMeTooといった追いやられた人たちの抗議が目立つようになってきていますが、その抗わねばならないような起点がスペイン風邪の流行った時代に作られた流れだと思うと、歴史を見つめ直す価値は本当に大きいなと思います。それから、当時ハリウッドスターがスペイン風邪に倒れた原因として、マスク着用の要請に対し、男らしさが半減する、とマスクを拒否した俳優が多かったことも挙げられています。マスキュリニティ、オーナーシップ、などなどメディア研究のツボをある意味で全押ししているような、重要ポイントが詰まった出来事だなぁ。

この記事ではCOVID19との対比をしながら読むのでより一層読みごたえがあるもの。ズーカーのやった垂直統合やビジネスモデルは現代のNETFLIXにも引き継がれています。

スペイン風邪で映画館が休業したりソーシャルディスタンスを保ったり、協会側が知事に陳情したり…。かたや知事は誤って一度収束したものと誤解し、緩和したところ、第二波、第三波の被害がでるといった年表が記事の下にきれいにまとまっています。上述のツボ以外の点でも、興味深い記事でした。

2016年1月8日金曜日

数値で測ることの恐怖

あけましておめでとうございます。
年始早々に暗くてすいませんが(年末に書いたんです)
データドリブンな世界における注意に続きがあるんです。続きというのは後からでてくるものですが、後ろにあるわけではなくて前にありました。なんだかもう、過去のゲームをもう一回やっているんじゃないかという気分になってきました。

Alexis C. Madrigalが、データドリブンな世界に潜む欺瞞を語るときに、自分の健康を計るうえで向き合う―がそれはうそっぱちであるもの―体重計について触れていましたが、最近手にした原克の著書「身体補完計画 すべてはサイボーグになる」はその源流となるところを紐解いているように感じます。

振り返ってみるとこの『計る』という行為の裏側には、アメリカ建国から自らの国力を高めるためという目的があった。クリーンで健康なアメリカ国民というのを広めるうえで、優性な血統が汚されることなきよう最新の科学を応用して測定する。そこに標準体型が数値として表され、見本となるような像(ノームとノーマ)まで作られていった。

ところで計るという行為と優性思想を考えたときに、私が思い出すのはベルギーの植民地であったルワンダで起きたジェノサイドである。学生のころ文化人類学の権威(と同じ苗字!)の講義を受けられる!とわくわくして聞きにいくと、ツチ族とフツ族の対立について少数派と多数派の文脈で語られるのみであったが、そののちにルワンダ虐殺についての映画作品「Sometimes in April」を見て、その背景のおぞましさを改めて思い知らされた。入植者が、鼻の高さで現地の人々をツチ族とフツ族に種別分けしたのだった。そして携帯を義務付けられている身分証に計測に基づき、いずれに属すか記されている。それがどちらかであるか、というもののみが登場人物たちの生死を分かつことになる。

身体の特定の部位を優性思想のもとに測定しソートする行為。もっと言うと、ツチかフツか明記した身分証を必携させており、識別子となって身分証に書かれていることが生死を分ける。ジグムント・バウマンのリキッドサベーランスとともに、これからのデータドリブンな社会が何を描いていくか、過去は十分に語っているような気がしてならない。最新の科学の力で数値化し、ソートするその行く末は「適合者」のみをあぶりだす行為だ。そしてその計測・解釈がすべて正しいという前提でのみ適合、不適合の二元性から、私たちは逃げることができない。

インターネットは歪んだ現実のみを流布する。それは「テクノロジー」と「健康」に偏っている。そして我々は哀れにも金を払ってフィットネスに通わなければならない。そしてフィットすべき標準のスコープとサンプルは、もっとずっと偏っている。

2011年9月11日日曜日

SXSWは全然音楽だけじゃない!

音楽好きなら必ず行ってみたいSXSW. (サウスバイサウスウェスト)と読みますが、これはテキサス州オースティンで行なわれている世界最大の音楽コンベンションです。何度も繰り返しますが音楽ファンの間では、「もう、絶対行きたいよいつか・・・大物バンドも新進気鋭のインディペンデントアーティストもいち早く観られる!」と鼻息荒くなってしまう大型イベントなワケです。

さてそんな音楽産業展には音楽以外の要素も含まれており『映画』それから『インタラクティブ』という部門があります。『インタラクティブ』では主にデジタル界隈の議論がされます。そのパネル候補がとってもエキサイティングなテーマばかり!特に私には・・。


投票結果次第なのでまだ確定ではないようですがまずはフリープレスのJosh Stearnsがオーガナイズするセッションのテーマ

If You Love Journalism Set It Free ジャーナリズムが好きなら解き放ちたまえ!

(概要)
「ウェブVS紙媒体、ブロガーVSジャーナリスト、市民VSプロ」の議論はもう終わった。もはや区別など存在しない。今起きている最高のジャーナリズムはプラットフォームやプロセスに縛られていない。情報を広げ、自由にするために行われているのだ。このセッションでは「ニュース」の古い定義から飛び出し新しいあり方へ向かわせているジャーナリスト、新しい方法でストーリーを伝え、かつてジャーナリズムそのものがプラットフォームだった頃とは違い、ニュースをネットワーク的なアプローチで発展させているジャーナリストを迎える。ニュースを再発明し革新するマルチメディアジャーナリストの話を聞く。

マザージョーンズのスティーブ・カッツ、PBSフロントラインやNPR、アルジャジーライングリッシュからもパネルスピーカーを迎えます。もう豪華・・・

組織ジャーナリズム批判に終始する日本の議論が本当さびしいですね。もう別次元ですから。

ほかにも

Socializing the Presidency: Digital Politics 2012 大統領選をソーシャルにする

2012年の大統領選にソーシャル・デジタルメディアはどんなトレンドを生みだすだろうか?Rock the Voteキャンペーンのような草の根の運動から何を今日に生かすべきか。クレイグリストのCraig NewmarkやRock The Voteの代表、PBSニューズアワー、VOTE LATINOよりスピーカーを迎える
公職選挙法でブログが書けない・・・とか言っている国にいると泣けてきますね。凍りつきます。ロボットとオタクと首相交代の国なのに・・・あ、だからか・・・。


草の根組織とインディーズ音楽、公共放送、インディペンデント映画が手を取り合うと、こういう面白いことができるわけです。どれも日本に該当する組織があるのですから、こういうことやっていってほしいと思います。そしたら前列でバンドみて、パネル聞きに行けます。

2010年11月8日月曜日

上映のご報告

上映にご協力いただいたみなさまありがとうございました!
さいりん館の方、そしてツイキャスで参加してくれた@asaakimさん, @tomo_nadaさん
ありがとうございました。

10 tacticsを監修したtactical technology collectiveで上映報告の記事をアップして下さいました。

以下、自分のことでお恥ずかしいですが・・・上記リンクの簡単な訳です。

先週末、10 tacticsの上映会が日本の京都で行われ、同時にライブ中継がオンラインで行われました。

主催はボランティアの田中恵子さん(24才)。田中さんはドキュメンタリー10 tacticsの日本語字幕翻訳を自ら行い、今回ようやく上映に踏み切った。京都市内のコミュニティースペースで開かれ参加者は若干名だったものの、TwitcastingというiPhoneのライブストリーミングアプリケーションを使って、本編のストリーミングを上映と同時に行い、ツイッターでのディスカッションで広くオーディエンスと議論を行った。

(写真)
上映後、参加者と「インターネットの民主化」について議論し、情報アクティビズムの重要性について話した。「参加してくれた人に、インターネットを活用してコミュニティーに情報を拡散させるノウハウに気づきを与えられたと思う」と田中さんは話している。


ある参加者は「テクノロジーの進化に驚いた。海外ではこんなに活用しているなんて知らなかった。自分で使いこなせるかはわからないけれど、活用している人々がいることにとても興味を抱いた」と感想を述べた。

田中さんはNGOへのボランティアや翻訳、ジャーナリストとして活動している中で、ターゲットオーディエンスにリーチし影響を与える新しい方法を模索している。10 tacticsのことはネットサーチ中に偶然発見し、その後、自身のブログinfoactivismjpn.blogpot.comで情報アクティビズムについて書いている。

上映を通じて、もっと国内の情報アクティビズムにかかわって行きたいと、田中さんは今後の上映やストリーミングに意欲を示している。

日本語バージョンの10 tacticsはこちらからダウンロードできます。
また、10 tactics「情報戦術カード」の翻訳ボランティアに興味がある方はこちらにお問い合わせください。